
生前葬とは? 概要・やり方をメリット・デメリットと共に紹介します!
2015/11/20
生きているうちに自分の葬儀を執り行うことを、「生前葬」といいます。葬儀特有の暗い雰囲気がなく親族の負担も軽いということで、利用する人もだんだんと増えているそうです。
そこで、今回は生前葬のメリット・デメリットをご紹介しましょう。生前葬というと、「特別な人がやること」というイメージがありますが、今は一般の方でも行うケースが少なくありません。
また、生前葬とまではいわなくても生前に葬儀の準備を整えておくことは、悪いことではないのです。興味がある方はぜひこの記事を読んでみてくださいね。
1.生前葬とは?
生前葬とは、文字どおり「生きているうちに自分の葬儀をする」ということです。20世紀初頭から芸能人の間で行われだし、文化人のビートたけしさんやアイドルグループのSMAPもテレビの企画で生前葬を行っています。「悪趣味なお遊びか」と思われる方もいますが、至って真面目な気持ちで生前葬をやられる方が大半です。
特に、定年がない仕事に就いている方は「これで自分は死んだのだから、もう仕事も引退します」という意味で行う人もいます。
2.生前葬のやり方は?
一般的な葬儀は、宗教のやり方に沿ったものと宗教色のないものの2種類があります。20代以上の方なら、一度は葬儀に参加したり親族として取り行ったりしたことがあるでしょう。葬儀は、ただ故人を見送り悲しめばよいものではありません。
特に、喪主をはじめとする血縁者や親族は、来客者のお世話で手いっぱいということも珍しくないでしょう。生前葬は、葬儀というよりパーティーのような雰囲気です。祭壇などが作られることもありますが、雰囲気は明るく主催者(故人に当たる人)が、普段はいえない感謝の気持ちを言葉にしたり、列席者と語りあったりもできます。
生前葬を企画したり手伝ったりする葬儀社もでき、毎年数百人が生前葬を行っているそうです。
3.生前葬のメリット・デメリット
この項では、生前葬のメリットとデメリットをご紹介します。テレビなどの企画で行われることも多くなった生前葬ですが、メリットばかりとはいえないのです。
3-1.生前葬のメリットは?
生前葬は、自分で「どのような葬儀にしたいのか」と決められます。現在の葬儀は、葬儀社のいわれるままに行う人も多く、無駄な費用がかかることも多いのです。しかし、生前葬ならば祭壇に飾る花から料理、演出などをじっくりと決められます。ですから、費用を節約しやすいのです。
また、列席者とともに死と向き合うことでこれまでの人生を振り返り、感謝の気持ちを伝えたり思い出話をしたりできます。さらに、生前葬を行うことでこれまでの人生の区切りをつけ、新しい人生を歩むこともできるでしょう。家族の負担も軽く、葬儀というより第二の人生の出発式のような雰囲気で行えます。
3-2.生前葬のデメリット
日本は昔から死をタブー視する風潮がありました。ですから、「生きているうちに葬儀なんて」と思う人も少なくありません。
また、本当に故人が亡くなった後「もう葬儀は行いましたから、斎場へ直行してそのまま骨はお墓に入れます」ということも難しいです。
特に、故人が社会的地位のあった人であるほど、弔問客も訪れるでしょう。結局ももう一度葬儀を執り行い、二度手間になったという例もあります。さらに、菩提寺(ぼだいじ)がある人や、洗礼を受けた人などはお寺や教会との兼ね合いもあり、葬儀を出さなければならないこともあるのです。生前葬への理解がもう少し進まないと、「葬儀は済ませたから、本当に亡くなっても葬儀は不要」というわけにはいかないでしょう。遺族の手間も結局は変わりません。
4.生前に葬儀の段取りを決めておくことは大切
しかし、生きているうちから自分の葬儀の段取りを考えておくことは大切です。2012年に亡くなった流通ジャーナリストの金子哲夫雄さんは、自分の葬儀の段取りや参列者へのあいさつ、ふるまう料理からお墓まですべて決めてから息を引き取られました。
では、生前に葬儀の段取りを決めておくと、どのようなメリットがあるのでしょうか?
この項ではそれをご紹介します。
4-1.葬儀に無駄なお金がかからない
結婚式や法事と違い、葬儀はいつ起こるか分かりません。長く病気をしていた方なら「そろそろ」ということもありますが、事故などで突然亡くなる方もいるでしょう。そうなると、葬儀社のいわれるままに葬儀を行い、高いお金を払わなければならないも珍しくありません。しかし、生前にどこの葬儀社を利用しどのような葬儀を行うか決めておけば、費用も節約できるでしょう。
4-2.遺族の負担も軽くなる
葬儀は決断の連続です。特に、喪主は悲しんでいる暇もないくらい決めなければならないことがあります。また、親族も参列者への対応に追われることもあるでしょう。故人の死を悲しめるのは、葬儀が終わった後では寂しいです。生前に葬儀の段取りを組んでおけば、遺族の負担はだいぶ軽くなります。
4-3.遺産の相続争いも起こりにくくなる
葬儀の段取りを整えるということは、遺産や遺品の行く末も決めることです。遺産争いはどの家庭でも起こり得ます。また、両親が遺(のこ)した膨大な遺品の始末に困っている子どもも少なくありません。遺産の分配方法を決め、持ちものを少しずつ整理していけばすっきりとした気持ちで自分の残りの人生を過ごせるでしょう。
5.葬儀の段取りはどうやって組んでいけばいいの?
今は、生前から自分の葬儀の相談に乗ってくれる葬儀社が増えています。葬儀代を積み立てていくシステムを備えているところもあるでしょう。今は、60%以上の高齢者が何らかの形で生前から葬儀の準備に取り組んでいるそうです。菩提寺(ぼだいじ)やミサに通っている協会があるのならば、お坊さんや聖職者と話をしておくのもよいでしょう。
また、遺言書の書き方セミナーなども開催されているので、参加してみてください。さらに、一定の年齢になったら家族と葬儀のことや遺産のことを話し合っておきましょう。「縁起でもない」と思う方もいるかもしれません。しかし、少しずつでも話し合っていけば後になって「あのとき話し合っておいてよかった」と思えるでしょう。
今は、インターネットで葬儀社のパンフレットなどを請求できます。興味のある方は調べてみてください。
おわりに
今回は、生前葬のメリット・デメリットについてご紹介しました。
まとめると
- 生前葬とは当事者が生きているうちに葬儀を執り行う一種のセレモニーである。
- 今までの人生を振り返り、親しい人に感謝の言葉を述べたり思い出話ができたりする。
- 自分の人生に区切りをつけられる
- 生前葬に対する理解はまだまだ低い。
- 生前葬をやったからといって、葬儀を行わないわけにはいかないケースが多い。
ということです。
昔は葬儀というと、隣近所が総出で執り行ったものでした。しかし、現在は葬儀社がすべて取り仕切ることが一般的です。だからこそ、生前に自分で葬儀の段取りを組むことも可能でしょう。
特に、遺品がたくさん残りそうだという場合は、早めに整理をしてください。今は自治体のゴミ捨てルールも厳しくなっています。時間をかけて、コツコツと人生の思い出を整理していきましょう。