相続放棄のメリット・デメリット。手続きの前に確認することとは?

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親や兄弟が、借金をたくさん残して亡くなった。このようなケースは珍しくありません。
借金は負の遺産として法定相続人に受け継がれます。
しかし、いきなり親兄弟の借金を払えと言われても困る方が大半です。
このような場合は相続放棄を行いましょう。
今回はそのメリット・デメリットをご紹介します。
相続放棄は借金などの負の遺産を受け継がなくてもすむ手続きです。
しかし、法定相続人同士で足並みをそろえないと思わぬトラブルが発生することもあります。
この記事を読んで、しっかりと対策を考えておきましょう。

  1. 相続放棄って何?
  2. 相続放棄のメリット、デメリットとは?
  3. 相続放棄を行う際の注意点
  4. 相続放棄をしたら、借金を払わないこと
  5. おわりに

1.相続放棄って何?

人が亡くなると、遺産と遺品ができます。
遺産とは、故人名義の金銭的な価値があるもののこと。
現金、預金、株券などの有価証券、土地家屋が該当します。
また、金銭的な価値が高い美術品や古書なども遺産扱いになることもあるでしょう。
遺品とは、故人が使っていた日用品や愛用品など、金銭的価値がないものです。
遺産は法律で相続できる人が決まっているのに対し、遺品は誰が受け継いでも構いません。
ですから、故人の愛用品を親しい友人にあげることもあるでしょう。
さて、遺産というとプラスのものというイメージが強いですが、借金などのマイナスのものもあります。
住宅ローンなど名義人が亡くなれば免責になる借金もありますが、ほとんどの借金は法定相続人に受け継がれるようになっているのです。
ですから、人によっては残したのは借金だけ、ということもあるでしょう。
法定相続人も、ある日いきなり「故人が残した借金を払え」と言われても困ります。
相続放棄とは、文字どおり財産を相続する権利を放棄すること。
相続放棄を行えば、故人の借金を払う必要はありません。
しかし、相続放棄をすればすべて解決というわけにはいかないのです。
次の項で、その理由と相続放棄のメリット、デメリットをご紹介しましょう。

2.相続放棄のメリット、デメリットとは?

この項では、相続放棄のメリット、デメリットをご紹介します。
これを知っておかないと相続放棄をして後悔することもあるでしょう。

2-1.相続放棄のメリット

相続放棄のメリットは、前述したように負の遺産を受け継がずにすむことです。
特に、故人が浪費家で遊興費にするために借金を重ねた場合などは、金額もかなりの額になっている場合もあるでしょう。
また、長年連絡を取っていない親や兄弟が知らないところで亡くなった場合、いきなり借金を相続してくださいと債権者から連絡が入ることもあります。
このような場合も、相続を放棄すれば問題ありません。
なお、相続放棄の手続きは「故人の死から3か月後まで」が原則です。
しかし、故人の死を知らなかった場合は知ってから3か月以内に手続きをすれば大丈夫。
慌てずに手続きしてください。

2-2.相続放棄のデメリット

相続放棄をすると、すべての財産を受け継げなくなります。
たとえば、故人が借金と土地家屋を残した場合、相続放棄すれば土地家屋も受け継げません。
ですから、ほかの相続人の名義になるか国のものになります。
「借金だけ相続放棄したい」ということはできませんので、注意してください。
また、相続放棄は一度手続きをすれば取り消せません。
ですから、相続放棄を考えている場合はまず遺産をすべて把握してから決断をしましょう。
また、相続放棄の手続きをする前に、故人の遺品などを売り払ったり受け継いだりした場合は、その時点で相続を行ったものと判断されます。ですから、金銭的な価値がなさそうな遺品でも、相続放棄の手続きを行うまで勝手にもらったり売ったりしないようにしてください。

3.相続放棄を行う際の注意点

では、実際に相続放棄を行う際はどのような点に注意すればよいのでしょうか?
この項で、詳しくご紹介します。

3-1.まずは遺産を把握する

前述したように、遺産放棄をする前にまずは故人の遺産を把握しましょう。
預金、土地家屋、現金、有価証券などの価値を残らず計算してください。
意外に忘れがちなのがインターネットバンキングです。
ですから、パソコンのデータも確認しましょう。
その結果、借金がプラスの遺産を上回っているようなら、相続放棄をした方がよいでしょう。
ただし、故人が残した家に住み続けたい場合などは、借金を貯金で相殺して残った金額を相続人が返すという方法もあります。

3-2.法定相続人全員で相続放棄を行う

法定相続人は、故人の配偶者、子ども、親、兄弟などです。
そのうちのひとりだけが相続放棄を行うと、残った借金は相続順位が低い人へ受け継がれることになります。
たとえば、故人の配偶者だけが相続放棄を行えば、子どもに借金支払いの義務が生まれるのです。
ですから、法定相続人の意見を統一していないと、それぞれの関係が悪くなることもあるでしょう。
相続放棄をする際は、法定相続人全員の意志を確かめて一斉に行ってください。

3-3.形見分けは、慎重に行う

相続放棄を行うと、故人の遺産はすべて放棄しなければなりません。
では、遺品はどうかというと、現状では判断が分かれるのです。
たとえば、受け継いだ時点では金銭的な価値ないと思われていたものが、後で調べたら高値で売買されていたというものもあります。
古美術品や古書が、それに該当しやすいでしょう。
また、古着は価値がほとんどないと判断されますが、大量に受け継いだ場合は転売できる可能性があると判断されます。
実際に、スーツを30着遺品として受け取った法定相続人に対して、相続放棄が認められなかったケースもあるのです。
ですから、遺品を分ける場合は弁護士に相談しながら行うとよいでしょう。

4.相続放棄をしたら、借金を払わないこと

相続放棄をされると、困るのが債権者です。
ですから、相続放棄をしても「少しでいいから払ってください」と食い下がることもあるでしょう。
しかし、一度でも借金を返すと、返済義務が生じます。
ですから、相続放棄を理由に絶対に払わないでください。
また、闇金などの違法な金融業者の場合は、どう喝を行ってくることもあります。
その場合は、警察や弁護士に相談しましょう。
なお、故人が借家で孤独死をした場合、相続放棄をすると片付けができにくくなります。
ですから、相続放棄前に掃除をして大家さんや管理会社に、「片付けたのはゴミだけです」という書類を作成してもらいましょう。
そうすれば、相続放棄に影響はありません。
このように、相続放棄をする際に迷ったら市役所の福祉課や法律相談ができる部署に行って相談してみてください。
「多分大丈夫だろう」と思いこみで行動をすると、思わぬトラブルになることがあります。

5.おわりに

いかがでしたか?今回は相続放棄のメリットとデメリットをご紹介しました。
ドラマや映画などで相続放棄のことを知った、という方もいるでしょう。
しかし、実際に行う際はよく内容を調べてから行ってください。
相続放棄をした結果、住み慣れた家を手放さなければならなくなることもあります。
また、故人に隠れた借金があった場合は、相続をした後で発覚することがあるのです。
こうなると、改めて相続放棄はできません。
ですから、借金がある方は、かならずその金額と債権者の名前を家族に伝えておいてください。
また、長年音信不通だった親族の借金を相続してほしいと連絡が来たら、まずはその話が事実かどうか確認しましょう。
相続放棄は3か月の猶予があります。
ですから、本人の死亡した状況なども確認する時間はあるのです。
相続放棄はその後でも大丈夫。
落ち着いて対処してください。