遺品整理と法環境

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国土交通省と総務省の合同で2018年4月をもって次の資料が出されています。
資料の対象となる法律は、いわゆる「空家対策特別措置法」と呼ばれるものですが地方公共団体が、この問題に取り組むにあたって、関連各施策を次のようにまとめています。

Ⅰ 空き家などに対する他法令による諸規制等
1. 具体の事案に対する対応手段の選択肢となる諸規制等
具体の事案に対する初期の判断として、対応手段の選択肢となりうる空き家等対策の推進に関する特別措置法以外の法令に基づく諸規制等
2. 空家等対策に係る事務の円滑な実施に資すると考えられる、諸手続規制等
Ⅱ 空家等の増加抑制策、利活用施策、除去等に対する支援施策等
1. 空家等の発生又は増加の抑制等に資する施策等
空家等に対する具体の対策として、空家等をそもそも発生させない、または空家等の増加を抑制することに資すると考えられる施策等
2. 空家等の利活用、除去等に対する支援施策等
空家等に対する具体の対策として、現に存在する空家等を利活用し、または除去等する取組を促すことに資すると考えられる施策等
3. 施策を講じる上で考え方を参照すべき他分野の諸制度等
空家等対策に係る取組方針等を検討する際、考え方を参考にし、また整合をとることが考えられる他分野の諸制度等

お役所のお役所によるお役所の為の行政文書なので堅苦しいことこの上ないですが家財整理や遺品整理を行う上で、必要性や知っておくと有利な法律が網羅されています。
また、放置状態がいかにまずいか、放置状態とみなされると法的にどのように地方公共団体が動くのかが見えてきます。

それでは、つぎに個別にみてゆきましょう。

Ⅰ 空き家などに対する他法令による諸規制等

1.具体の事案に対する対応手段の選択肢となる諸規制等

【建築基準法に基づく保安上危険な既 存不適格建築物等に対する措置】
[建築基準法第10条]
(概要)
特定行政庁は、特殊建築物等のうち、そのまま放置すれば著しく保安上危険となる恐れがある既存不適格建築物等について、必要な措置を勧告でき、正当な理由なく当該勧告に係る措置がとられなかった場合において、特に必要と認めるときは命令できる。 

特定行政庁は、現に著しく保安上危険な既存不適格建築物等について必要な措置を命令できる。
特定行政庁は、上記命令に基づく措置が講じられないとき等は代執行できる。

〇かみ砕くと…
空家状態が続き建物が危険な状態であると判断されたときは措置を講じるよう命令が出せるというもの。
この命令が出されると法的な強制力が発行されるので「待った!」は効きません。

【道路法に基づく禁止行為等に対する措置】
[道路法第43条、第44条、第47条の11、第 48条、第71条第1項・第3項]
(概要)
○沿道区域における土地等の管理者の損害予防義務
○道路保全立体区域内の制限
○道路管理者等の監督処分

〇かみ砕くと…
放置していた空家及び庭木などを含む施設が道路に危険な状態と判断される場合、必要な措置を命令できるというもの。

【消防法に基づく火災の予防のための措置】
[消防法第3条、第5条、第5条の3、第9条]
(概要) 
消防長、消防署長その他の消防吏員は、火災の予防に危険であると認める場合に、みだりに存置された燃焼のおそれのある物件の除去等を所有者等に命ずることができる。
また、消防長又は消防署長は、建築物の構造又は管理等の状況について、火災の予防に危険であると認める場合に、建築物の改修等を所有者等に命ずることができる。  火災の予防のために必要な事項は政令で定める基準に従い市町村条例でこれを定める。

〇かみ砕くと…
みだりに存置された燃焼のおそれのある物件は空家やいわゆるゴミ屋敷を指し、危険であると消防署が判断した場合、所有者に改善を命令することができるので、これも改善命令という形で出された場合、期限内に措置を講じないと刑罰対象になります。

【災害対策基本法に基づく応急公用負担等】
[災害対策基本法第64条]
(概要) 
市町村長は、災害が発生した場合等において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、他人の土地、建物その他の工作物を一時使用等できる。

【災害救助法に基づく救助
[災害救助法第4条第10号 災害救助法施行令第2条第2号
(概要) 
災害に基づく救助として、災害によって運ばれた日常生活に著しい支障を及ぼしているものの除去ができる。

〇かみ砕くと…
津波や山崩れ、河川の決壊、竜巻等などにより発生した瓦礫類となった建物は除去できるし、またこの活動に伴い、土地や家屋の徴用が行われる場合、空家等はこの法律を根拠として優先的に用に供される可能性が高いという事。

2.空家等対策に必要な諸手続規定等

【地方税法に基づく不動産登記情報の通知】
[地方税法第382条]
(概要) 
登記所は、建物の表示又は所有権等に関する登記をしたときは、10日以内にその旨を当該家屋等の所在地の市町村に通知しなければならない。
【民法第25条から第29条、第951条から第 959条
地方税法第382条]
(概要)
不在者がその財産の管理人を置かなかったとき、あるいは、相続財産につき相続人のあることが明らかでないときに、家庭裁判所が、利害関係人又は検察官の請求に基づき不在者財産管理人又は相続財産管理人を選任し、家庭裁判所の監督の下、これらの管理人をして当該財産の管理等に当たらせる制度

〇かみ砕くと…
建物の所有権は登記所により所有権を有する者を所在地の市町村に伝えてあるので、その権利者である空家の不在者が適切な財産の管理を行っていなかった場合は、利害関係人または検察官の求めに応じて家庭裁判所が管理人を選出し、その財産の管理の任につかせられるというもので、ほおっておくと家裁が管理者を決めて、権利者に対して管理に係る費用の請求を可能にできるというもの。

さて、ここまでが表の「Ⅰ 空き家などに対する他法令による諸規制等」の内容になります。
いくら個人の財産であっても、放置され管理がされておらず、それによる事故などが誘発されかねない状況にあるものは、所轄の公官庁支所及び地方自治体から改善命令を出す事ができるし、災害が起こった際には撤去や公的使用に供されるものであるという事を法的に肯定し、また登記所により物件管理の不明状況は作らないよう努力し、放置による損害が発生した際には、不在者であっても所有者責任として費用の発生に対して責任を負うことをまとめたものになります。
つまりは、住んでいないから責任は持てないというような言い逃れはできませんよということです。
放置に対する危機感は感じていただけたでしょうか?

放置物件にしないための整理をお考えなら、遺品整理の得意な業者に早めに相談しましょう。
今後高齢化が進んでゆく中で必要性が高まるサービスです。
安心できる業者に早めに依頼して、片づければ空家ではなく賃貸物件として利益を産むものに変えてゆくことができますよ。

長くなりましたので、「2.空家等対策に必要な諸手続規定等」に関しては次のページにてご案内しましょう。