
戒名料の相場はどのくらい?戒名をつけないとお葬式はできないの?
2015/12/29
仏式で葬儀を執り行う場合、お寺から「戒名をどうしましょうか」と聞かれます。
しかし、戒名の意味や名付ける理由などが分からない、という方も多いでしょう。
また、戒名料に納得がいかないという方も増えています。
そこで、今回は戒名の意味や相場についてご説明しましょう。
現在、日本の葬儀は仏式で行われることが多いので、戒名料も葬儀費用の一部のように取り扱われています。
しかし、決して戒名をつけなければいけないということはありません。
戒名について詳しく知りたいという方は、ぜひこの記事を読んでみてください。
1.戒名って何?
戒名とは、仏教徒になった際に授けられる名前のことです。
仏教徒になり出家をするということは、俗世にかかわるすべてを捨てるということ。
ですから、名前も捨てて仏教徒としての新しい名前を授かるのです。
つまり、もともと戒名とは生きている人に授けられるものでした。
しかし、現在では僧侶にならない限り生きているうちに出家する方は、ごくわずかです。
そこで、仏式で葬儀をする際に「仏の弟子になった」という意味で戒名をつけます。
ですから、キリスト教や神道、そのほか無宗教で葬儀を執り行った場合は戒名をつける必要はありません。
2.戒名の意味や相場とは?
戒名は故人が生前に活躍したことや、好きだったことを踏まえてつけられます。
また、戒名という呼び方は一般的なもので、仏教の宗派によっては法名や法号と呼ばれることもあるのです。
戒名にはいろいろな種類と位(くらい)があります。
自宅に仏壇があるという方は、一度位牌(いはい)を見てみてください。
最後に居士や大姉、信士、信女などの文字があると思います。
これが戒名の位(くらい)です。
男女の違いや子どもだけにつける戒名などもありますが、位(くらい)が高いほど命名の際にかかるお金も増えていきます。
戒名の相場は、数十万円~数百万円と非常に幅広いです。
また、お寺に値段を聞いてもはっきりと答えてくれない場合がほとんど。
「お気持ちで結構です」と言葉を濁されてしまうでしょう。
ですので、後からトラブルになる事例も増えているのです。
3.なぜ、戒名でトラブルになるのか?
かつて、お寺は地域社会と密接な関係にありました。
江戸時代は、お寺が役所のような役割を果たしており、すべての家がどこかのお寺に信徒として属していたのです。
ですから、お寺との付き合いにかかる費用なども、代々「このくらいで」と親から子へ伝えられてきました。
また、僧侶も「俗世間と縁を切った」という建前がある以上、はっきりと金銭を要求できません。
さらに、社会的に地位の高い人はお寺の末永い存続を願ってたくさんのお布施をするのが一般的でした。
ですから、社会的地位の高い人に勧められる戒名は値段が高いのです。
しかし、現在は都市部ほどお寺との付き合いは無くなってきています。
特に、地方から都市部へ移り住んだ人ほどその傾向は強いでしょう。
また、親だけが地方に残っており子どもがすべて都市部に出てきたという場合もあります。
中には、お寺との付き合いをこれで終わりにしたいと思っている方も少なくありません。
また、日本人は特定の宗教を信仰していない方が多いです。
亡くなったからといって高いお金を払って戒名をつけることに納得がいかない方もいるでしょう。
ですから、戒名の名付け料を巡ってトラブルになることも少なくないのです。
このような場合、お寺が非難されることが多いですが、必ずしもお寺だけが悪いわけではありません。
お寺を運営していくためには、維持費がかかります。
一部の観光寺院を除いて、今は経営の苦しいお寺が多いのです。
また、お寺の収入は檀家(だんか)からのお布施や墓地の維持管理、さらに学校や習い事の運営で賄われていることがほとんど。
檀家(だんか)が減れば、それだけ収入も少なくなってしまいます。
また、お寺にお布施をするという習慣がないご家庭も増えているため、お寺がお布施を求めただけでトラブルになることも多いのです。
4.戒名の名付けによるトラブルを防ぐには?
では、戒名のつけ方によるトラブルを防ぐには、どうしたらよいのでしょうか?
この項で、その一例をご紹介します。
4-1.仏式による葬儀を行わない
仏式による葬儀でも、戒名をつけずに行うことは可能です。ただし、僧侶の心証は悪くなるでしょう。
また、宗派によっては位牌(いはい)を作ってくれないこともあります。
ですから、最近は仏式による葬儀を行わない人も増えているのです。
仏式以外の葬儀というと、神式とキリスト教式、さらに全く宗教色のない葬儀があります。
故人が特定の宗教を信仰しているのなら、その宗教による葬儀を取り行ってあげましょう。
また、「お別れの会」形式で葬儀を行ってくれる葬儀社もあります。
4-2.戒名料も葬儀代に含まれているパックを利用する
一昔前まで、葬儀の代金は不透明なことが多かったのです。
葬儀社のいわれるままにお金を払っていた方も少なくありませんでした。
しかし、今ではすべての会計を明朗にしている葬儀社も増えています。
その中には、戒名料まで含めて一律いくら、というパックを販売しているところもあるのです。
このような葬儀社を利用すれば、お寺との交渉をする必要もありません。
4-3.生きているうちに戒名をつける
菩提寺(ぼだいじ)があり、僧侶と長い付き合いがあるという場合は、生きているうちに戒名をつけるという方法もあります。
もともと、戒名は仏の弟子になったときに授けられるもの。生きているうちに授かっても何ら問題はありません。
また、自分で僧侶と交渉できますから、融通もききやすいでしょう。
実際に、お寺と相談して生前に戒名を授かる著名人もいるのです。
4-4.お墓を移す場合は、菩提寺(ぼだいじ)とよく相談をする
少子化の影響で実家の墓を維持できず、お墓を移す方も増えています。
このような「墓じまい」は、戒名と同じようにトラブルになるケースが多いのです。
お寺にとって墓地の維持管理費は大切な収入源のひとつ。
それが檀家(だんか)の一方的な都合でなくなってしまえば、文句のひとつもいいたくなるでしょう。
ですから、高額な「墓じまい料」を請求された人もいるのです。
お墓の増減は時代の流れとともにどうしようもない部分もあります。
ですから、菩提寺(ぼだいじ)にある日突然「墓を移します」と申し出るのではなく、「このような事情でお墓を移転したいのですが」と相談をするとよいでしょう。
5.おわりに
いかがでしたか?
今回は戒名料の相場やトラブルの防止方法をご紹介しました。
戒名の考え方は宗派だけでなく、僧侶個人によっても違います。
ですから、「高い戒名料を請求するなんて」と一方的にお寺や僧侶を責めるのは間違っているのです。
また、長い付き合いのあるお寺がある場合は、寺院存続のためにも一定額の負担は当然のこと、と考える人もいます。
ただし、借金をしてまで戒名料を支払ったり豪華な葬儀をしたりする必要はありません。
戒名料を節約したい場合は、位(くらい)を下げればよいのです。
また、どこのお寺とも付き合いがなく仏壇もないという家の場合は、無宗教や神式による葬儀を取り行えば、一周忌、三回忌といった法要をする必要もありません。
ライフスタイルに合わせて選んでも問題はないのです。