遺留分とは?トラブルが多い遺産相続で知っておきたい遺留分減殺請求

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自分の親が亡くなったら、直面する問題として財産相続があります。相続する財産は、持ち主だった被相続人のものです。基本的に被相続人の自由にできるものであり、遺言書があるなら遺言書に従って配分できます。
しかし、遺言書によって配分が決まることにより、受け取れる分が少なくなってしまうことがあるはずです。あまり知られていないのは、遺留分について。遺産相続を数多く経験している方はとても少ないと思います。知識がないゆえ、損をしてしまうケースもあるでしょう。
遺留分は、相続人へ最低限保証された遺産相続分のことを意味しています。今回は、知っておきたい遺産相続についてです。遺留分とは何か、遺留分の割合などをご紹介します。遺産相続の際にトラブルを回避するためにも、知識を持っておきましょう。

  1. 遺留分とは?
  2. 遺留分の侵害について
  3. 遺留分減殺請求について
  4. 遺留分の放棄について
  5. まとめ

1.遺留分とは?

遺産相続では、遺言書で左右されることが目立ちます。しかし、遺留分という相続財産を一定割合受け取れる権利があるのです。遺留分は被相続人の遺言書より優先されるもので、民法で規定された制度にあたります。

1-1.権利行使しないと有効にならない

遺留分は、法定相続人が権利行使をしない限り、効力を発揮しません。遺留分を知らなかったために、本来受け取れるはずの財産を受け取り損ねてしまうケースも多いのです。
遺留分の請求ができる人を、遺留分権利者と呼んでいます。また、遺留分請求の呼び方は、遺留分減殺請求です。遺留分減殺請求を行うことで、最低限の遺産相続分を取り戻すことができます。

1-2.遺留分の割合

遺留分の権利行使により、取り戻すことができる財産の割合は、法定相続分がどのくらいあるかによって変わります。

  • 配偶者 法定相続分に対して2分の1
  • 子ども 法定相続分に対して2分の1
  • 親 法定相続分に対して2分の1(ただし、法定相続人に配偶者がいない場合は3分の1)
  • 兄弟姉妹 遺留分について権利はない

1-3. 生前贈与と遺留分の関係

生前贈与が行われ、いったん別の人へ渡った財産があっても、遺留分権利行使によって認められれば取り戻すことは可能です。
遺留分減殺請求は、生前贈与ですべての財産が人の手に渡り、遺留分がなくなってしまうことを防ぐためにあります。

2.遺留分の侵害について

遺留分の侵害とは、権利のある遺留分が遺言書などによって侵害されていることを指します。ただし、必ずしも遺言書によって侵害されるわけではありません。
遺言書がある場合でも、法定相続分に対して2分の1にあたる財産を相続しているなら、遺留分侵害にはあたらないのです。被相続人の死から1年前までに受けた贈与・特別受益などを含んで遺留分を計算します。贈与などを含めて計算し、法定相続分に対して2分の1にあたる遺留分が侵害されているかどうかで、侵害の判定を行うのが一般的です。
不動産など価値評価が難しいものは、被相続人が死亡した時点での価値で判断します。

3.遺留分減殺請求について

遺留分を受け取るためには、遺留分減殺請求を行わなければなりません。遺産をもらい過ぎている相続人に対し、遺産返還の意思表明をすることです。

3-1.請求方法

遺留分減殺請求の意思表示は、どんな方法でも行うことができます。口頭で伝える・電話で伝える・手紙やファックスで送るなど、特別な定めはありません。しかし、裁判に発展した場合、遺留分減殺請求の意思表示をした証拠が残らないため、内容証明郵便など記録が残る方法で行うのが理想的です。

3-2.内容証明郵便でも返還がない場合

意思表示を行うだけでは、遺留分の返還をスムーズに行うことが難しいものです。必ず遺留分を取り戻すためには、協議・調停・訴訟といった3つの手段を使うといいでしょう。裁判に発展せず、もらい過ぎている相続人と遺留分請求人の当事者間で和解できるのが理想ですが、どちらも譲らない場合には裁判での決定が必要になります。

3-3.遺留分の計算

遺産金額が明確な場合、遺留分の計算はとても簡単です。遺産金額の合計に自分のあてはまる遺留分の割合を掛けます。

  • 遺産金額×遺留分の割合=受け取れる遺留分 

生前贈与の有無・不動産の相続がある場合、金額がはっきりしないことがあります。上記のような簡単な計算式に基づき算出することができませんので、専門家へ相談するといいでしょう。弁護士を選ぶ場合は、遺留分に詳しい人材を選ぶことが大切です。

3-4.遺留分減殺請求の時効はいつ? 

遺留分があることを知らず、時間が経過して時効を迎えてしまうケースもあります。本来取り戻せるはずの遺産も、時効を迎えた後では手が出せません。
遺留分減殺請求の時効は、遺留分の権利者が相続開始の事実を知り、被相続人の財産や生前贈与などを確認することが前提です。加えて、生前贈与などにより遺留分を侵害されていることを知ったときから1年以内に、遺留分減殺請求を行わなければなりません。また、相続開始から10年が経過すると、遺留分減殺請求の権利は消滅します。時効を迎える前に、本来受け取れる遺留分の知識を持つことが大切です。

4.遺留分の放棄について

遺留分放棄は、遺留分権利者が被相続人に意思表示を行うことが必要ですが、家庭裁判所への申し立てで許可を得ることが前提です。遺留分を放棄は、相続放棄とは異なります。遺留分を放棄しても、相続開始とともに相続人となり、遺産分割協議の当事者にあたるのです。
家庭裁判所で許可を得ることが必要なのには理由があります。

  • 放棄が権利者の意思に基づくものかどうか
  • 放棄の理由が正当で必要なものか
  • 放棄とともに得られる代償があるか

家庭裁判所で上記事項を考慮して判断を下すのです。まれに正当ではないと判断され、却下されることもあります。

5.まとめ

遺産相続で知られていない遺留分についてご紹介しました。

  • 遺留分とは
  • 遺留分の侵害について
  • 遺留分減殺請求について
  • 遺留分の放棄について

遺留分は、相続人が一定割合の財産を受け取れるために設けられた制度です。もらい過ぎている人がいる場合、遺留分減殺請求で権利行使しなければなりません。遺留分減殺請求では、本来受け取れる財産を取り戻す意思表示を行います。口頭・電話・ファックスなどよりも、裁判になったときに証明できる内容証明郵便などを利用するといいでしょう。
遺留分減殺請求には時効があります。遺産相続開始から10年が経過すると消滅してしまうため、受け取れるはずの遺留分をもらい損ねてしまうのです。
また、遺留分を放棄するためには家庭裁判所への申し立てで許可を得る必要があります。遺留分の放棄をしても、相続を放棄したことにはなりません。トラブルが多い遺産相続だからこそ、きちんと知識を持つことが大切です。