相続を放棄したければ遺品整理してはダメ? 相続放棄の注意点とは?

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血縁者が亡くなって相続人になったが金がたくさんあるので相続放棄したい、と考えている方は少なくありません。
しかし、相続放棄にはルールがあります。
そのルールを知らなかったばかりに、相続放棄ができなくなった人もいるのです。
特に、注意しなければならないのは遺品整理。
そこで、今回は相続放棄する場合に遺品整理をどうしたらよいのか、ということについてご説明します。
相続は法律に沿って行われるので、理不尽に感じられることでも守らなければなりません。
相続放棄をしたい方は必見ですよ。

  1. 相続を放棄することの意味とは?
  2. 相続放棄と遺品整理について
  3. 相続放棄をする人が遺品整理をする方法とは?
  4. あなたが急に相続人に選ばれたら?
  5. おわりに

1.相続を放棄することの意味とは?

相続とは、人が亡くなった後に資産価値のあるものを相続権のある人が受け継ぐことです。
相続権が発生する人と分配の方法については、法律で定められています。
また、遺言状を書けば、ある程度その内容が反映されるでしょう。
しかし、故人の資産は現金や土地、有価証券など価値があるものだけではありません。
借金も負の遺産として相続しなければならないのです。
また、本人が交通事故の加害者となって亡くなった場合は、損害賠償をする義務も発生する可能性があります。
さらに、賃貸住宅で孤独死をした場合は、原状回復の義務も相続した人に発生するのです。
ですから、相続する財産によっては、相続人の負担にしかならないこともあるでしょう。
そんなときに利用したいのが「相続放棄」です。
相続を放棄すれば、借金などを相続しなくても済みます。
しかし、その代わり故人名義の現金や土地、有価証券などすべての資産価値があるものも受け継げません。
ですから、負の資産だけ相続放棄することはできないのです。

相続放棄は負の資産だけ放棄できるわけではないんですね。
資産価値があるものも借金も相続権のある人が受け継ぐことになっているのです。

2.相続放棄と遺品整理について

遺品整理とは、故人が残した土地や現金、有価証券など明らかな資産価値があるもの以外を整理することです。
つまり、日用品やコレクション、家電、愛用品などが該当します。
特に、故人が賃貸住宅に住んでいた場合は、すみやかに退去しなくてはなりません。
当然、管理会社や大家さんから故人の子どもなどの血縁者へ、「片付けてください」という要請が来るでしょう。
しかし、相続放棄を行いたい場合は故人のものを片付けると、相続放棄ができなくなることがあるのです。
民法の第921条1号で、「相続財産の全部または一部を処分したとき」は、相続放棄が認められないと定められています。
この処分とは、故人の持ち物を片付けたり、売ったり壊したりすること。
故人の持ち物を処分すると、相続の意志あり(法廷単純承認)があると考えられてしまうのです。
もちろん、故人の持ち物はちりひとつ触ってはいけない、というわけではありません。
「常識の範囲で形見分けをするのは構わない」と定められています。
しかし、この「常識の範囲」というのは非常に解釈が難しいのです。
たとえば、故人がいつも愛読していた漫画本を形見分けにもらったとします。
漫画本など、本来は資産価値がありません。
しかし、それが古書店で高額な値段がつけられていたらどうでしょうか?
資産価値が発生してしまうのです。
故人が借金を残して亡くなった場合、債権者はなんとか借金を取りたてようとします。
ですから、裁判所に訴える場合もあるのです。
そのときに、遺族が遺品整理をしてしまっていると、「相続の意志あり」と裁判所に認められてしまい相続放棄ができなくなる可能性があります。

相続放棄をしたら遺品の扱いは気をつけないといけないんですね。
相続の意志ありと認められてしまう行為は控える必要があるでしょう。

3.相続放棄をする人が遺品整理をする方法とは?

しかし、故人のものを何ひとつ動かせないのでは、いろいろと不都合です。
特に、集合住宅や住宅密集地に故人が住んでいた場合、臭いなどで苦情が来るかもしれません。
この項では、相続放棄を予定している人が遺品整理をする方法の一例をご紹介します。

3-1.法律家に相談する

司法書士や弁護士の中には、相続放棄に詳しい人も多いです。
中には、相続放棄をしながら遺品整理をする方法の相談を受けている事務所もあります。
ですから「できることをしたい」という場合は、法律かに相談してみましょう。
「常識の範囲」がどこまでに当たるか、相談に乗ってもらえます。
分割払いも受けつけてくれる事務所もあるので、費用が心配という方は相談してみましょう。

3-2.明らかなゴミだけ処分する

故人が持ち家に住んでいたならば、明らかなゴミだけ処分しましょう。
特に、生ごみが残っている場合は早めに処分してください。
また、賃貸住宅に住んでいた場合は大家さんや管理会社に事情を話し、できるだけのことをしてあげましょう。
「相続放棄をするので故人の荷物は処分できない」と相続人に言われたら、大家や管理会社が自腹で家をきれいにするしかありません。大変な損害です。
だから、今は高齢の単身者が賃貸住宅を借りにくくなっています。

相続放棄予定で遺品整理をする方法がわかって助かりました。
相続放棄をするとはいえ、できるかぎりのことはするようにしてください。

4.あなたが急に相続人に選ばれたら?

急に財産の相続人に選ばれることなんてあるの?と思う方もいるかもしれません。
しかし、今はそのような事例が増えているのです。
その理由のひとつが離婚。
両親が離婚して、どちらかと音信不通になってしまった場合、ある日突然「父(母)が亡くなったので遺産を相続してください」という連絡がくることもあります。
これが、現金や有価証券ならば喜ばしいことです。
しかし、借金やゴミ屋敷の可能性もあります。
また、長年音信不通だった場合は相続人を探すのに時間がかかり、血縁者の死から時間がたってから連絡が来ることも珍しくありません。
通常、相続放棄はその人が亡くなってから3か月以内に行う必要があります。
しかし、故人の死後3か月以上たって連絡が来ることも多いのです。
でも、慌てる必要はありません。
この3か月とは、故人の死を知ってからの期間になります。
ですから、連絡が来てから3か月以内に手続きを行ってください。
また、故人が借金をしている場合は、なんとかして相続人に払ってもらえるようにあの手この手で催促してくる業者もいます。
特に、闇金と呼ばれる違法金融業者は、脅しのような手口を使ってくることもあるのです。
しかし、絶対に払ってはいけません。
たとえ少額でも払ってしまうと相続放棄が認められなくなります。
また、形見分けしてもらった故人の愛用品は大切に取っておきましょう。
いらないから、と処分してしまうと後で問題になるかもしれません。

急に相続人に選ばれるというのもありえない話ではないんですね。
故人の死を知ってから3か月以内に手続きを行えば相続放棄は可能です。借金は少額でも払ってしまうと相続放棄が認められなくなりますので注意しましょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は、相続放棄と遺品整理についてご説明しました。
まとめると

  • 相続放棄をする場合、不用意に遺品整理をしてはいけない。
  • 遺品整理をどうしてもしたい場合は、法律家に相談する。
  • ふいに相続人に指定された場合は、3か月までなら相続放棄ができる。
  • 明らかなゴミだけは処分しても大丈夫。

ということです。
大家さんや管理会社から「すみやかに部屋を明け渡してください」と言われれば、慌てる方が多いと思います。
しかし、相続放棄を考えている方は不用意に遺品整理を行ってはいけません。
相続人の間で意見が割れているという場合は、とりあえずトランクルームや貸倉庫に遺品をすべて移しましょう。
お金はかかりますが、相続放棄が認められないよりはましです。
また、3か月という期限を忘れてはいけません。
さらに、形見分けも数点ずつにしておきましょう。
かつて、大量の背広を形見分けとしてもらったら、相続放棄が認められなかったという判例もあります。