遺言書の効力について知る!~自分の思いを確実に遺すために~

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遺言が持つ効力についてご存じでしょうか? 近年は「終活」という言葉が注目を集め、遺言書を遺(のこ)す人も増えてきています。遺言書は相続トラブルを防ぐ上でも非常に重要になるため、正しい書き方を把握しておく必要があるでしょう。この記事では、遺言書の効力や書き方など、知っておくべきことをまとめてご紹介します。

  1. 遺言・遺言書とは?
  2. 遺言の効力について
  3. 遺言書について
  4. 遺言書を書いたらどうするのか?
  5. 遺言書作成を依頼する場合
  6. 遺言書の開封について
  7. 遺言に関するよくある質問

この記事を読むことで、遺言書を作成する上で知っておくべきことが分かるはずです。ぜひ参考にしてください。


1.遺言・遺言書とは?

まずは、遺言書の目的や種類・必要性などをまとめてご紹介します。

1-1.遺言・遺言書とは?

遺言とは、自らの死後のために遺(のこ)す言葉のことです。遺言書は遺言を書き留めた書類のことで、基本的に何を書いてもかまいません。ただし、相続や財産の処分・身内に関する事項については、規定どおりに作成することで法的な効力を持つのが特徴です。

1-2.目的

遺言書を遺(のこ)す目的には、以下のようなものがあります。

  • 遺族間のトラブルを予防する
  • 渡したい人に財産を確実に渡るようにする
  • 相続手続きの負担を軽減する
  • 相続税対策
  • 自分の思いを遺(のこ)す

1-3.種類

遺言書には、大きく分けて「普通方式遺言」と「特別方式遺言」があります。

1-3-1.普通方式遺言

普通方式遺言とは、日常生活の中で遺(のこ)す遺言のことです。「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。

  • 公正証書遺言:公証人が作成し、原本を公証役場で保管してもらう方式
  • 自筆証書遺言:遺言の全文を自書し、押印して作成する方式
  • 秘密証書遺言:公証役場で手続きをするが、内容を公証人に秘密にできる方式

1-3-2.特別方式遺言

特別方式遺言とは、普通方式遺言が不可能な場合に緊急で作成する遺言のことです。「一般危急時遺言」「難船危急時遺言」「一般隔絶地遺言」「船舶隔絶地遺言」の4種類があります。

  • 一般危急時遺言:病気や負傷で死亡の危急が迫った人が遺(のこ)す遺言
  • 難船危急時遺言:船舶や飛行機に乗っていて死亡の危急が迫った人が遺(のこ)す遺言
  • 一般隔絶地遺言:伝染病によって隔離された場所にいる人が遺(のこ)す遺言
  • 船舶隔絶地遺言:船舶に乗っていて陸地から離れた場所にいる人が遺(のこ)す遺言

1-4.必要性とメリット

遺言書を遺(のこ)す最大のメリットは、相続手続きで遺族がもめるのを防ぐことにあります。相続人同士が一つ一つの財産について分配方法を考えるのは大変なことです。遺言書で何をどのように相続するのか決まっていれば、そのようなもめごとが起こることはないでしょう。相続人の手間を省くためにも、遺言書は必要な場合が多いのです。

2.遺言の効力について

遺言が持つ効力について解説します。

2-1.遺言書の効力とは?

せっかく遺言書を遺(のこ)しても、遺族がその内容を無視してしまっては意味がありません。民法の規定に従って作成された遺言書には、法律上の効果が認められるのです。

2-2.認められる効力について

もちろん、遺言書に書かれているすべてのことに法的な効力があるわけではありません。法律上の効果が発生する事項は、以下のとおりです。

  • 財産処分に関すること
  • 身分に関すること
  • 遺言執行に関すること

2-3.効力が無効とされる場合

遺言書が有効か無効かの判断については、公正証書遺言と自筆証書遺言とで見方が変わってきます。公正証書遺言の場合は、公証人が不在の状態で作成された遺言書などは無効とされるため注意が必要です。自筆証書遺言の場合は、パソコンで書かれたもの、押印や日付の記載がないものなどが無効となるため、覚えておきましょう。

2-4.効力がある期間について

遺言書に法的な有効期限はありません。たとえ古い遺言書であっても、その内容に従う義務があるのです。ただし、遺言書が複数存在している場合は、日付の新しいものが有効となります。

2-5.注意点

自筆証明遺言の場合、使用する用紙や筆記用具は自由です。ただし、必ず自筆であることが条件になります。パソコンを使って作成すると遺言書として認められないため、注意してください。自分で書くのが難しい場合は、親族などに代筆を頼まず、公正証書遺言を利用しましょう。

3.遺言書について

では、遺言書はいつ書くのか、内容や注意点などをご紹介しましょう。

3-1.いつごろ書くのか?

基本的に、満15歳以上であれば法的に有効となる遺言書を作成することが可能です。「いつ書くもの」という決まりがあるわけではなく、自分が必要だと思ったタイミングで作成して問題ありません。しかし、自分の財産処分に関する判断能力がしっかりとある状態で作成するのが望ましいでしょう。病気などで死期が近づくと、その判断能力が低下してしまう恐れがあります。そのため、できるだけ早めに検討するべきです。

3-2.書き方の種類

「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」それぞれの書き方についてご紹介します。

3-2-1.自筆証書遺言の書き方

遺言者がその全文と日付・氏名を自分の手で書き、印鑑を押して作成します。証人の立ち合いは必要ないため、用紙と筆記用具・印鑑があればいつでも作成可能です。印鑑については、実印や三文判など決まりはありません。ただし、混乱を避けるためにも氏名の下に押印しておくのがおすすめです。

3-2-2.公正証書遺言の書き方

まずは、相続財産リストを作成した上で下書きを作成します。弁護士や行政書士などの公証人2人に依頼し、内容について打ち合わせをしましょう。内容に問題がなければ、公証役場に書類を持参して遺言者が口述し、公証人が筆記します。遺言者と公証人が署名押印し、遺言書の完成です。

3-2-3.秘密証書遺言の書き方

自筆証書遺言と違い、遺言書の本文はパソコン入力や代筆でも問題ありません。ただし、署名だけは自筆する必要があるため注意してください。遺言書を封筒に入れ、証人2人と公証人1人の前で、その封筒が自分の遺言書である旨を伝えます。必要事項を記入してその封筒を返却してくれるため、受け取ってください。保管は自分で行う必要があります。

3-3.遺言事項

遺言事項とは、法的効力が認められる事項のことをいいます。該当事項は大きく分けると、財産に関すること・身分関係に関すること・遺言執行に関することの3つです。具体的には、以下のような内容になります。

  • 相続人の廃除
  • 相続分の指定
  • 遺産分割方法の指定
  • 財産の処分に関すること
  • 内縁の妻と子に関すること
  • 遺言の執行に関すること

3-4.内容

遺言書には、相続の問題だけでなく看取(みと)りやお墓などについての記載もしておくとよいでしょう。こういった事項には法的効力がありませんが、病気や高齢で自分の意思を伝えられなくなった場合などに、尊重してもらえる可能性があります。

3-5.トラブルについて

遺言をめぐるトラブルは、実は多いものです。たとえば、遺言書作成時に遺言者が認知症だった疑いがある場合、遺産分割が終了した後で遺言書が出てきた場合など、親族間でトラブルが発生した例は少なくありません。こうしたトラブルを避けるためにも、できるだけ早い段階で適切に遺言書を作成しておく必要があるのです。

3-6.遺言信託について

遺言信託とは、作成した公正証書遺言を銀行が保管し、執行するしくみのことです。銀行が遺言執行者となり、財産の管理や分配などを行います。この方法を利用すれば、遺言の執行が何年先になっても安心でしょう。資産運用の相談などにものってもらえるため、遺言信託を利用する人が急増しています。

3-7.相談について

遺言書の作成に関して不安や疑問がある場合は、専門家に相談してみましょう。相談先となるのは、弁護士や行政書士・司法書士・税理士などです。それぞれにメリット・デメリットがあるため、よく考えた上で相談してください。また、どの専門家に相談すべきか迷ったときは、ファイナンシャルプランナーに相談するとよいでしょう。あらゆる面での知識が豊富なため、適切なアドバイスをもらえるはずです。

3-8.注意点

遺言書は自由に書き直すことができます。状況や気持ちに変化があったときは、後悔のないように書き直すとよいでしょう。ただし、その際には古い遺言書を破棄する必要があります。破いて捨てれば遺言内容は取り消されたことになるため、覚えておきましょう。

4.遺言書を書いたらどうするのか?

完成した遺言書はどうすればよいのでしょうか。

4-1.検認について

自筆証書遺言と秘密証書遺言は、検認されるまで開封することができません。検認とは、家庭裁判所で相続人の立ち会いのもと遺言書を開封する手続きのことです。検認は、遺言書の存在を明確にし、偽造を防止することを目的としています。

4-2.保管について

公正証書遺言の場合は公証役場が保管してくれますが、そのほかの遺言書はどのように保管すればよいのでしょうか。自宅で保管する場合は、金庫や机の引き出し・タンスの中・仏壇などを選ぶ人が多くなっています。しかし、遺言書を保管する上で重要なのは、他人による改ざんや隠匿を防ぐこと、相続発生時にすぐ存在が明らかになることです。そのため、保管場所に迷う人も多いのではないでしょうか。おすすめなのは、銀行の貸金庫や後見人などに預けて、自宅以外の場所で保管する方法です。検認手続きをせず勝手に開封されないよう、封筒に「遺言書」と記載しておくとよいでしょう。

4-3.注意点

公正証書遺言の場合は、遺言書が公正役場に保管されていることを誰かに伝えておく必要があります。誰も知らないまま遺言者が亡くなってしまうと、遺言書が発見されないままになってしまうでしょう。相続人や遺言執行人が問い合わせると、遺言書の所在が分かるシステムになっています。

5.遺言書作成を依頼する場合

自分で遺言書を作成するのが難しい場合は、専門家に依頼する方法もあります。

5-1.弁護士

弁護士は相続トラブルにも対応できるため、遺言に関してトータルサポートが可能です。相続や遺産分割についての知識と経験が豊富な弁護士であれば、安心して遺言書の作成を依頼できるでしょう。ただし、報酬が高いというデメリットがあります。

5-2.司法書士

司法書士は登記の専門家であるため、不動産の名義変更が発生する場合などは依頼するとよいでしょう。ただし、あくまでも相続登記の専門であり、不動産がない場合は遺言書の作成を依頼できません。

5-3.行政書士

弁護士や司法書士に比べて費用が安く済むのが行政書士です。書類作成の専門であるため、比較的気軽に遺言書の作成を依頼できるでしょう。ただし、行政書士は係争が起こった際の代理人にはなれません。そのため、係争の心配がない場合は依頼を検討しましょう。

6.遺言書の開封について

遺言書の開封についても知っておくべきことがあります。

6-1.知っておくべきこととは?

前述したとおり、遺言書を開封するためには検認の手続きをしなければなりません。手続きをせず勝手に開封した場合は、5万円以下の過料になるのです。ただし、原本が公正役場に保管されている公正証書遺言書の場合は、勝手に開けてしまっても問題ありません。万が一変造されても原本と比較することが可能なためです。

6-2.弁護士に手続きを依頼することも

検認の手続きは手間も時間もかかります。そこで、手続きを弁護士に依頼することも可能です。提出書類なども弁護士が取り寄せて用意してくれるため、手間を最小限に抑えることができるでしょう。また、裁判所との連絡や期日の調整なども代わりに行ってくれます。「費用がかかってもよいので依頼したい」という場合は、検討してみるとよいでしょう。

6-3.注意点

自筆証書遺言の中には、封をしていないものや封筒に入っていないものが見つかる場合もあります。その場合も、必ず家庭裁判所での検認手続きが必要になるため注意してください。亡くなった人が作成したものだと証明する必要があります。

7.遺言に関するよくある質問

「遺言について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

Q.公正証書遺言と自筆証書遺言では、効力があるのはどちらですか?
A.効力としてはどちらも同じですが、より確実な効力を求めるのであれば公正証書遺言書にするべきでしょう。

Q.遺言書が遺(のこ)されていない場合、遺産分割はどのように行われるのですか?
A.相続人全員による遺産分割協議が行われます。ただし、後から遺言書が見つかった場合は手続きを最初からやり直すことになるでしょう。

Q.遺言書があれば法定相続人でなくても相続できますか?
A.可能です。遺言状にその旨を記載すれば、内縁の妻などにも財産を分けることができます。

Q.認知症だと遺言書の作成はできないのでしょうか?
A.常時判断力のない状態であれば遺言書の作成はできません。認知症であっても一時的に正常な思考能力が回復する場合は、2名以上の医師が立ち会っていれば作成が可能です。

Q.夫婦共同で作成した遺言書でも効力があるのでしょうか?
A.夫婦や兄弟が2人以上で作成する遺言書には効力がありません。

まとめ

いかがでしたか? 遺言の効力や遺言書の種類・書き方などをまとめてご紹介しました。自分の意思を確実に伝えるため、遺言書を遺(のこ)すことは大切です。しかし、法的な効力を持つ遺言書を作成するためには、知っておかなければならないことがたくさんあります。ぜひこの記事を参考にして、自分の思いを遺(のこ)しましょう。