片付けができないのは認知症の始まり?対処法はどうすればいいの?

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高齢化社会を迎えた日本では、人口の30%近くが65歳以上の高齢者といわれています。高齢になると心身ともにいろいろな病気が出やすくなるものですが、中でも認知症は厄介な病気です。高齢の親が認知症になり、家をゴミ屋敷にしてしまったという話も珍しくありません。片付けができない親に悩んでいる方もたくさんいます。

そこで、今回は認知症になると片付けができなくなる理由や、その対処方法をご紹介しましょう。

  1. 認知症とはどのような病気?
  2. 認知症と片付けの関係
  3. 片付けられない親への対応をどうすればいいのか?
  4. 家の片付け方
  5. 認知症と片付けに関するよくある質問

この記事を読めば、近しい方が認知症になってしまった場合の対処方法も分かりますよ。親や兄弟が認知症になってしまい、家の片付け方に悩んでいるという方も読んでみてくださいね。


1.認知症とはどのような病気?

認知症とは、脳の機能が衰えて記憶力や判断力・見当能力(場所や日時などを判断する能力)が失われていく病気の総称です。脳出血など病気由来の認知症もありますが、アルツハイマー型認知症のように原因が分からないものもたくさんあります。

認知症は誰でも発症する可能性があり、一度発症すれば現在の医学では治すことはできません。認知症を発症すると、だんだんと日常生活ができなくなっていき、やがて食事や排せつといったことまで介護が必要になります。

現在、認知症の患者数は約460万人といわれており、これからも増加傾向にあると考えられているのです。認知症は一般的に65歳以上の高齢者に発症しますが、若年性アルツハイマー病のように30代・40代で発症する認知症もあります。

2.認知症と片付けの関係

この項では、認知症になると片付けができなくなる理由などをご紹介します。なぜ、認知症になると片付けられなくなるのでしょうか?

2-1.片付けと記憶力・判断力

片付けるという行為は、記憶力と判断力を使います。ものの置き場所を決めて不用品を捨てるには、ものをしまう位置を覚えておく記憶力と、不用品を捨てる判断力が欠かせません。しかし、記憶力や判断力が低下すると、しまった場所が分からなくなったり必要なものと不用品の区別がつかなくなったりします。

2-2.ものを探して散らかしてしまう

認知症は、もの忘れがひどくなることから始まるケースもあります。この場合、どこに何をしまったのかを忘れて、家中をひっくり返すようになることもあるでしょう。また、散らかったものを片付けようとしてもどこに何を置いてあったのか忘れてしまうので、うまくいきません。これが続くと、家中が散らかり放題になってしまいます。

さらに、家に何があるのかも分からなくなりますので、同じものをいくつも買ったりすることもあるでしょう。これも、家を散らかす原因になります。

2-3.認知症と老化による記憶力の低下の違い

年を取ると誰でも記憶力や判断力が低下していきます。しかし、記憶力が低下していてもメモを取ったりものの置き場所を工夫することはできるでしょう。同じものを1日に何度も探し回ったり、極端な入れ間違いをすることはないのです。

認知症の場合は、記憶力と判断力が低下の一途をたどるので、分かりやすい場所に片付けたりメモを取ったりしても、解決しません。やがて、要冷蔵のものを常温で放置したり、冷蔵庫にテレビのリモコンや財布などを入れたりするようになることもあるでしょう。貴重品を自分でしまいこんで分からなくなってしまい、「誰かが取ったに違いない」と妄想を起こすこともあります。

2-4.認知症の疑いがある行動とは?

同じものを何度も探したり、本人は片付けているつもりでも全く片付いていなかったりすることが続いている場合は、認知症が疑われます。また、「大切なものを盗まれた、隠された」と主張するようになった場合も認知症の可能性があるでしょう。親と離れて暮らしている場合は気がつきにくいかもしれませんが、服装が不潔になってきたり季節にあわないものになってきたりした場合も要注意です。

3.片付けられない親への対応をどうすればいいのか?

認知症が疑われる場合は、すぐに病院を受診しましょう。精神科・神経内科・もの忘れ外来など検査をすれば、認知症かどうかが分かります。かかりつけ医がある場合はまずそこを受診し、紹介状を書いてもらってもよいでしょう。認知症を発症した場合は、記憶力や判断力が回復することはありません。ただし、病気の進行を遅らせることはできます。

要介護度の認定を受けたなら、ヘルパーに介護を依頼したり施設を利用したりすることも考えましょう。認知症が進むと自力で生活するのは困難になります。
また、家が散らかりきっている場合は片付けが必要です。ただし、問答無用で片付けをしようとすると激しい抵抗にあったりするでしょう。片付けをする場合は、親を一時的にでも納得させて行うことが大切です。

4.家の片付け方

この項では、近しい人が認知症を発症して片付けができなくなった場合の対処方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

4-1.自分たちで片付けることはできる?

散らかりきった部屋を片付けるのは、思っている以上に大変です。特に、収集癖がある方の場合は家の収納スペースすべてに膨大な量のものがしまわれていることもあるでしょう。ですから、1軒屋をすべて1~2人で片付けようとするならば、時間をかけて行いましょう。認知症になったからといって、何もできなくなるわけではありません。一時的にでも納得すれば一緒に片付けることも可能です。ものを捨てることを拒む場合は、「取っておきます」といってこっそりと始末するようにしましょう。

自力で家を片付ける場合は、経済的には安くすみます。しかし、時間がない方や遠くに離れて住んでいる場合はなかなか難しいでしょう。

4-2.プロに頼む方法もある

今は、不用品回収業者や清掃会社が、散らかりきった部屋を片付けるサービスを行っています。自分たちでどうしても片付けきれない場合は、プロに依頼しましょう。家族が認知症患者を連れだして、その間にプロが家を片付ける方法もあります。掃除に業者を頼むなんてと思う方もいるかもしれません。しかし、現在はゴミ捨てのルールも厳しくなっていますので、不用品をゴミに出すのも大変です。業者に依頼をする場合は、10万円前後~と費用がかかりますが、不用品回収業者に依頼した場合はゴミもすべて持っていってくれるので、積極的に利用してみましょう。

4-3.業者の選び方

散らかりきった家を片付けてくれる業者には、清掃業者・便利屋・不用品回収業者などがあります。このうち、不用品の回収まで行ってくれるのは、不用品回収業者だけです。便利屋の場合は依頼をすればゴミ処分場までゴミを運んでくれるでしょう。不用品がたくさんある場合は、不用品回収業者に依頼するといいですね。依頼を受けた業者は、下見をして見積もりを出してくれます。見積もりも出さずに作業を始めるような業者は心配ですので頼まない方がよいでしょう。また、「安くしますよ」としかいわずに不用品を積みこんだ後、法外な料金を請求する業者もいます。

ですから、見積もりを出して料金が加算される条件ををきちんと教えてくれる業者を選びましょう。今は口コミサイトも豊富なので、依頼するのも一つの方法です。

4-4.生前整理の重要性

現在は、生前整理の重要性が注目を集め続けています。認知症は誰でも発症する可能性がある病気ですから、自分だけは大丈夫といい切ることはできません。60歳を超えたら身の回りを整理して、不用品はできるだけ早く処分しましょう。このような場合も、不用品回収業者に依頼すると、有料で不用品を引き取ってくれます。タンスなどの大型家具でも大丈夫ですので、粗大ゴミをゴミ捨て場まで持っていけない時などにも利用してみましょう。

5.認知症と片付けに関するよくある質問

Q.親とはたまに電話で話すくらいの関係ですが、認知症の見抜き方はありますか?
A.認知症の初期は、短い時間ならばいつもと同じように振る舞うことができるでしょう。しかし、話しているうちに会話がかみ合わなくなってきますので、少し長く話をしてみましょう。また、近所に様子を見てくれる方を作っておいたり日常生活を手助けしてくれるヘルパーさんを依頼しておくと、発見が早まりやすいのです。

Q.親が昔から片付けが苦手した。認知症になったらどうしようと不安です。
A.親が片付けられない人というのは、珍しくありません。この場合は、少しずつこっそりと捨てていくという方法があります。目立たない場所から少しずつ片付けていけば、親も気づきにくいでしょう。

Q.生前整理はどこまで行えばよいのですか?
A.人によって異なりますが、万が一のことがあっても遺族がスムーズに財産分与や形見分け・遺品整理ができるようになっているのが一番でしょう。

Q.親が片付けをかたくなに拒否します。どうしたらいいですか?
A.認知症を発症すると、変化を極端に恐れるようになる方もいます。この場合、まず一部屋を片付けて認知症の方にそこで過ごしてもらいましょう。片付いた部屋の方が居心地がよいのです。その間に他の部屋を片付けてしまいましょう。大切なものだけ親の手元に置いてあげてください。

Q.施設に入所した後で、一気に片付けることは可能ですか?
A.業者に依頼すれば大丈夫でしょう。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は親など近しい人が認知症で片付けができなくなった場合の対処方法などをご紹介しました。親が高齢になれば、誰もが考えなければならない問題です。家が大きいほど荷物もたくさんある傾向にありますので、少しずつ片付けを行っていきましょう。親の世代も、生前整理の重要性が認知され始めています。少しずつ続けていけば、家の中もすっきりとして暮らしやすくなるでしょう。とはいえ、頭ごなしに片付けを強要してはいけません。思い出を整理するような気持で、親と協力して行っていきましょう。