
生前贈与のメリットとデメリットを一挙公開! 相続との違いは?
2019/09/15
「生前贈与するか迷っているが、メリットやデメリットにはどのようなものがあるのか?」とお悩みではありませんか? 生前贈与のメリットについて正確に知らない人も多いでしょう。もちろんデメリットもあるため、詳しく知ったうえで選択肢の一つとして考えるべきです。
この記事では、生前贈与と相続の違いや、生前贈与をスムーズに行う方法などを詳しくご紹介しましょう。
この記事を読むことで、生前贈与すべきケースや、生前贈与に関する相談先などが分かるはずです。
1.生前贈与とは?
まずは、生前贈与について詳しく解説しましょう。
1-1.生きているうちに財産を渡すこと
生前贈与とはその名のとおり、生きているうちに財産を贈与することです。生前贈与できるのは現金だけでなく、土地や建物などの不動産や有価証券・宝石や絵画なども対象になります。生前贈与が成立するためには、財産を渡すほうと受け取るほう、両方の合意が必要です。つまり、認知症などで「財産をあげる」という意思表示ができなくなった場合、生前贈与として成立しなくなります。
1-2.節税対策として行うことが多い
生前贈与は主に、節税対策として行われることが多くなっています。生きているうちに財産を渡すことで相続財産を減らし、相続税の負担を少なくすることができるのです。もちろん、生前贈与にも贈与税が発生することがあります。贈与税の課税対象にならないように生前贈与を行うことで、効果的に相続税対策ができるというわけです。
2.生前贈与と相続の違いを解説
生前贈与と相続にはどのような違いがあるのでしょうか。
2-1.「いつ渡すか」がポイント
生前贈与と相続の大きな違いは、「いつ財産を渡すか」ということです。亡くなった人の財産が遺族などに引き継がれるのが「相続」、生きているうちに財産を渡すのが「贈与」ということになります。相続と贈与にはそれぞれ異なるルールがあり、メリットが生じるように利用することを考えるべきです。
2-2.基礎控除額が異なる
相続には相続税、生前贈与には贈与税が発生する場合があります。そして、相続税と贈与税はそれぞれ基礎控除額が異なるのです。この点も大きな違いになるでしょう。つまり、「いくら以上で課税対象になるか」のボーダーラインを理解したうえで、相続と生前贈与を使い分ける必要があるのです。
2-3.生前贈与は法定相続人以外も対象に
生前贈与と相続では、対象者にも違いがあります。相続の場合は法定相続人に財産を譲り受ける権利が認められていますが、贈与の場合は対象者を自由に選ぶことができるのです。つまり、法定相続人に該当しない孫やひ孫にも財産を譲り渡すことができます。
3.生前贈与のメリット3つ
生前贈与のメリットには、以下のようなものがあります。
3-1.節税できる場合がある
贈与税の非課税枠を利用することで、相続税を節税できる場合があります。暦年課税を活用すれば控除額が多くなるため、生前贈与したい相手が複数いる場合はかなりの節税になるでしょう。また、相続財産の金額が基礎控除額より多い場合は、生前贈与を検討すべきです。
3-2.相続トラブルを回避できる
生前贈与は財産を渡したい人が存命のうちに行うものです。そのため、財産を渡したい人と受け取る人がよく話し合いをして相続について決めることができます。お互いが納得するまで話し合うことができるため、相続トラブルを回避できるという点もメリットでしょう。
3-3.希望どおりに財産を渡すことができる
生前贈与をすることで希望どおりに財産を与えることができるというメリットもあります。遺産相続の際に行われる遺産分割協議の結果、被相続人望みのどおりに財産が分割されない可能性もあるでしょう。生前贈与では納得のいく結果になるはずです。
4.生前贈与のデメリット3つ
生前贈与のデメリットをまとめました。
4-1.税金が高くなる場合もある
生前贈与で逆に税金が高くなってしまう場合もあるのです。特に、土地や建物など不動産の贈与を受けた場合、不動産取得税や登録免許税などを支払う必要が出てきます。そのため、節税効果があるかをしっかり調べてから生前贈与を検討すべきです。
4-2.税務署に認められない可能性もある
生前贈与が税務署に認められないケースもあるという点もデメリットです。生前贈与が成立するためには、贈与する人と贈与を受ける人、双方の合意が必要になります。双方の意思表示がない場合、税務署に生前贈与を否認されてしまうこともあるのです。たとえば、現金を手渡しする場合やへそくりを生前贈与する場合などは注意が必要になります。
4-3.死亡前3年以内の贈与は相続税の対象になる
被相続人の死亡前3年以内に生前贈与された財産については、相続税の対象になります。被相続人が自分の余命を知り、相続税の負担を少なくしようとして生前贈与を選択するのを防ぐためのルールです。
5.生前贈与をスムーズに行うポイント
生前贈与をスムーズに行うためにはどうすればよいのでしょうか。
5-1.計画的に行う
相続税の負担軽減を目的に生前贈与を行うのであれば、余裕を持って計画的にすすめることをおすすめします。どうすれば節税対策になるのかを知るためには、生前贈与のしくみをしっかり理解しておかなければなりません。前述したとおり、死亡前3年以内に贈与された財産は相続税の対象になってしまうため、できるだけ早い時期から計画を立て始めたほうがよいでしょう。
5-2.書面に残す
「税務署に否認される」「親族間でもめ事が起こる」などのトラブルを防止するためには、きちんと書面に記録しておくことが大切になります。一番よいのは、署名・捺印をした贈与契約書を作成することです。口約束だけだと後からトラブルになる可能性が高いため、注意してください。
5-3.専門家に相談する
生前贈与には複雑な問題がからむこともあるため、専門家に相談しながらすすめていくのがおすすめです。基礎控除額を自分で計算するのも難しい場合が多いため、銀行や税理士・弁護士などに相談してみるとよいでしょう。
6.生前贈与以外の節税対策は?
生前贈与以外にも、節税対策には以下のようなものがあります。
6-1.生命保険の非課税枠を利用する
生命保険の非課税枠を利用して相続税を節税する方法です。生命保険には、法定相続人1人につき500万円の非課税枠が生じます。保険金の金額が非課税枠以下であれば節税につながるのです。
6-2.小規模住宅地の特例を利用する
不動産の「小規模住宅地の特例」を利用する方法もあります。同居していた親が亡くなり、子供が土地を相続する場合、この特例を利用することで土地の評価額を最大80%減額することが可能です。
6-3.養子縁組みをする
養子縁組みによって法定相続人を増やすのも一つの方法です。法定相続人が増えると相続税の基礎控除額が増えるだけでなく、生命保険の非課税枠も金額が上がります。効率的に節税ができるでしょう。
7.生前贈与に関するよくある質問
「生前贈与について知りたい」という人が感じるであろう疑問とその回答をまとめました。
Q.贈与税の受け取り方にはどのような方法があるのでしょうか?
A.毎年課税される「暦年課税」と、相続時にまとめて課税される「相続時精算課税制度」の2種類があります。
Q.贈与契約書にはどのような内容を記載しておけばよいですか?
A.渡す人と受け取る人がお互いに合意していることと、受け取る人がその財産を自由に使えることを記載しておきましょう。
Q.複数の贈与を受けた場合、贈与税も増えるのですか?
A.はい。基礎控除枠内の贈与を受け取ったとしても、ほかにも贈与が発生すれば贈与税がかかります。
Q.生前贈与すべきケースには、節税したい場合以外にどのようなものがあるのでしょうか?
A.法定相続人以外に財産をあげたいと思っている場合や、遺産分割で親族トラブルが起こるのを避けたい場合などに生前贈与すべきです。
Q.贈与契約書の作成を専門家に依頼したいのですが、誰に依頼できますか?
A.司法書士や税理士に作成を依頼することが可能です。
まとめ
生前贈与のメリットとデメリット・相続との違いなどを詳しくご紹介しました。生前贈与を検討しているなら、得られるメリットや注意点などをしっかり把握しておくことが必要です。ぜひこの記事を参考に、スムーズな生前贈与をしてください。